XF16mm F2.8 |
カメラのボディを予約して発売開始の日に購入したことは何度かあるけれども、レンズを予約して発売日に購入したのは今までに何回有ったかな? 今回は珍しく事前予約して、発売日の翌日の今日、通販で手に入れました。1日遅れたのは田舎暮らしだから仕方がないです。
ふつうカメラボディやレンズの新製品が発売されると、発売日の晩にはもうネット検索で、その製品のレビューやら購入自慢やらを見つける事が出来ます。が、このXF16mm F2.8は発売日翌日の今になっても検索に引っ掛かってきません。地味なレンズと言うこともあるでしょうが、このレンズを買うような人はたいていのレンズは揃えて持っていて、慌てて発売日に買うことも無いのでしょう。最近は市場原理というか需要と供給というか、発売開始時はかなり高値の販売ではじまります。このレンズの場合もストリートプライスの初値は4.8万と高めで、たぶん1年も経てば4万ぐらいにはなるでしょうから、みなさん買い控えているのかもしれません。それなのに私はなぜ予約までして発売日にこのレンズを買ったのか? 春休みの旅に持っていきたかったからなのです。
富士のXマウントのコンパクトプライムレンズでは35mm、23mm、50mmに続き、この16mm F2.8は4本目になります。35mmフルフレーム機の換算では50mm、35mm、75mm、そして今回のが24mm画角相当になります。このレンズ群、海外ではFujicronなどと渾名されています。軽量コンパクトで写りが良く、筐体のやや先細りのデザインやシリーズの画角の揃えは、これはあきらかにライカのレンズ、Summicronの影響を受けていて、というか模倣していて、だからFujicronと呼ばれます。Fujicronは今回購入の16mmの他に23mmと50mmを持っています。35mmを購入しないのはZiessの32mmを持っているからで、ZiessはXF35mm F2と比べると大きいしAFは遅いのですが写りは私の好みです。それに標準レンズの50mm画角って、じつは余り好きじゃなくて使うことも少ないので、AFの速さは魅力的ですが、今のところ35mmは購入せずなのでした。
今回のXF16mm F2.8の購入に当たっては、発売前予約をして買うとしても、もちろん事前にネットでプリプロダクションレンズの作例などを見て参考にしました。2月14日に富士フイルムが3月20日発売を発表して、同時に主要なレビューサイトやXカメラマンの、富士フイルムから事前に渡されていていたプリプロダクションレンズでの作例や評価の公表が解禁されたのでした。
主要なレビューサイトはひも付きの柔なものではなく、欠点もハッキリ書かれているのが参考になりますし、Xカメラマンは逆に目一杯バイアスが掛かっていますが、作例も多く、だからこそ見えてくる部分もあってこれもまた参考になります。
しかしレビューサイトもXカメラマンのサイトも、これ全て海外のものなのです。日本のメーカーなのに、この新しいレンズの評価、紹介サイトが発売日まで日本語のものが無いというのは、富士フイルムは、沈みゆく日本経済の市場などは主眼にしていないグローバル企業だからと言うことなのでしょうか?
さて、レンズの試し撮りに出かけます。何時もは新しいレンズを手に入れると釧路の街や港に出掛けて撮影しています。ですが今日は天気が悪く、新しいレンズを手に入れたとはいえ、撮影にわざわざ遠くに出かける気にもなりません。雲は重く低く暗く、風は冷たく、気温は-2℃ほどです。昨日の最高気温が12℃ぐらいでしたから、余計寒さが身に染みます。何処に撮りに行こうかと暫く考えて、近場の川湯温泉街カメラ散歩としました。
X-E1購入時からですから、もう7年使って貫禄の出てきたお気に入りのBillingham for LeicaのカメラバッグにX-pro2で出掛けます。レンズはFujicron3本を持っていって、それぞれ使用しましたが、掲載した写真は全てXF16mm F2.8のものです。
富士のカメラの魅力の一つは良く出来たフィルムシミュレーションです。今回はRAWの他にPROVIA、Classic Chrome、ACROSの3つを同時記録してみました。が、今日の写真日記は最近お気に入りのACROSで撮ったものに統一して載せました。JPEG撮って出しのものもありますし、Photoshopで少し手を加えたものもあります。
温泉街の周辺の自然環境は素晴らしく、今日もカメラを持って歩いていたらすぐ近くの林の中からクマゲラの声が聞こえてきました。最近人気のシマエナガやモモンガだって温泉街の周りの森に、人の生活のすぐ近くに沢山居るのです。この廃墟になったホテルや商店、住宅を全て取り壊して木を植えて公園化できれば、もともと温泉の湯は豊富で良質なのですから、今の時代にマッチしたエコロジカルな素晴らしい温泉観光地になることでしょう。でもまあ、土地の価値が上がるとなれば地権者達は公園化のために土地を手放すなんてことはしないでしょうね。
ひとまわり温泉街を歩いて廻って、昭和な香りのする喫茶店でコーヒーを飲んでひと休みです。Fujicronの軽量コンパクトなレンズトリオはお散歩カメラで持って歩くのには最適で、重さが全く気になりません。
XFレンズ群には同じ16mmの焦点距離で2段早いF1.4のレンズもあります。スペックを見比べたときに最短撮影距離、撮影倍率がF1.4の方が寄れる、大きく撮れるので差が気になったのですが、通常の使用ならば私にはこの差は気にならないほどだろうとおもえました。
背景のボケは、広角レンズでこのF値ですから大きくボケることはありません。ただ、このレンズを広角マクロのような使い方をする場合は、たとえば森の林床に咲く小さなスプリング・エフェメラルを撮る場合、わざわざ広角レンズを使うのは花が咲いている場所の周辺の雰囲気が判るようにするためですから、背景が完全にボケてしまう必要はありません。完全にボカして被写体を浮き上がらせたいのなら、標準や望遠マクロレンズを使えば良いのですから。
それにしても24mm画角っていうのはやっぱり使いこなすのが難しいですね。広角レンズは余りにいろいろなものが画角の中に入ってきてしまいますから、主題を絞ったり、構図を決めたりするのが標準や望遠レンズのようにはできません。でもまあ使うのが難しいというのもアマチュアカメラマンにとっては、あれこれ撮って試す面白さもあります。今年の春の旅行にこのレンズを持っていくことで旅の楽しみがひとつ増えることでしょう.
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