一眼レフデジタルとミラーレスとホシガラス |
初めて使うカメラですから操作に不慣れな部分も多く、また、どのようにセッティングしたら使い易くなるのか、撮り易くなるのか。各ファンクションボタンやダイヤルへの機能の割り振りや、特に動体撮影時のAFの最適な設定を探るのが一番の目的でした。
森の入り口あたりで、さっそく小鳥達の群れを見つけました。どうやらアオジとベニマシコの混群のようです。二十羽ほどの群れが林の中や草地で餌を探したり追いかけっこをしたり。動きの速い小鳥たちを練習台にして、先ずは撮影です。
初めのうちは慣れずにミスばかりです。EVFは良く出来ていてタイムラグは全く感じませんが、ミラー&プリズムのファインダーで実像を見るのと、液晶画面のファインダーで見るのとでは、動きの速い野鳥を追うのにはかなり違いがあります。またズームレンズもこれまでは直進ズームだったのが、新しいレンズは回転式のズームですから、これも操作では違和感だらけです。
それでもシャッターを押してしまえば一眼レフデジタルだろうとミラーレスデジタルだろうと、レンズを通った光が受光素子にあたって撮影する仕組みの部分は一緒ですから、撮れた写真も同じようなもので、画質そのものがハードウェアの違いによって変わるわけではありません。帰って来てから撮った写真のチェックをしても9年間の進化でISO感度は同じノイズ量なら3段ぐらいは上げられるように感じましたが、ピントは慣れている古い機種の方が歩留まりは良いかもとおもわせる部分もありました。まあでも、これはこれからセッティングを詰めて使い慣れていけば、差は無くなるものとはおもいます。
あれこれ試行錯誤しながら設定を変えて撮っていると、聞き慣れた小鳥達の声が聞こえてきました。シマエナガです。特に珍しい鳥ではありませんが、動きの速く、そのうえ今時期は葉の茂った高い樹の梢をどんどんと移動して行ってしまうことが多いので、声を聞くことはあっても、姿を見ること写真を撮ることは難しい小鳥です。ところが今日は低い位置を移動してきました。新しいカメラ&レンズを使う初日にシマエナガに会えるとは、なんてラッキーなんでしょう。ちょっと距離もありましたが、秋の森のシマエナガ達の姿を捉えることが出来たのは嬉しいです。ハシブトガラやシジュウカラ、ゴジュウカラ、それにコゲラも含めた混群が森の中を移動していて、シマエナガ達はその混群と付かず離れずの感じで行動を共にしているようにみえました。
そろそろ帰ろうかとおもっていたところに、大きな黒っぽい鳥が飛んできました。最初は判らなかったのですが、枝に止まった姿を見たらホシガラスです。この辺りでも山の上の方へ行けば見かける鳥ではありますが、こんな平地の森の、それも九割九分が広葉樹で針葉樹は疎らにあるような場所でホシガラスを見るのははじめてのことです。警戒心が薄いのか愛想が良いのか1分ほどすぐ近くの枝に止まって撮影のモデルになってくれました。が、好奇心の強い頭の良い鳥ですから、モデルになったのではなくて私のことを観察していたのかもしれません。
森で3時間半ほどカメラのテストをして帰って来ました。ミラーレスのメリット、デメリットを感じることが出来た撮影でした。メリットは多々あります。なによりカメラが軽く小型なこと。シャッター音が静かなのも良いです。今日のホシガラスは一眼レフの連写だったら逃げてしまっていた可能性はあったとおもいます。
デメリットはやはりバッテリーの持ちです。思っていたよりは使えたものの、それでもバッテリーの減りは早く、常に予備バッテリーを幾つか持っていく必要があるでしょう。また寒い冬にバッテリーの持ちがどうなるのかも気になります。
関連することですが、風景写真やスナップ撮影に比べると野鳥や野生動物撮影ではファインダーを覗いている時間が長くなるとおもうのです。撮影対象をカメラで追って観察しながらシャッターチャンスを待つことがけっこうあります。双眼鏡、望遠鏡代わりにも使っていると言って良いのかもしれません。一眼レフデジタルカメラで、それもMFでこれを行っていればバッテリーを喰うことはほとんどありません。が、ミラーレスデジタルで同じことをやろうとすると電源入れっぱなし、EVF点けっぱなしですから撮影しなくとも電気を食います。そして実像を観る一眼レフデジタルに比べると、ミラーレスの小さな液晶画面では、画素数が多くリフレッシュレートが高くタイムラグが無くとも、観察は実にし辛く感じます。EVFではやはり双眼鏡の代わりにはならないのです。
単に野鳥を撮るという目的だけならミラーレスの方が良い場合が多いでしょう。でも野鳥が好きで、撮るだけではなく観るのも好き。観察しながら撮影をも愉しむひとには、もしかしたら実像が見える一眼レフデジタルの方が向いているのかなと、森の中で撮りながら、ちょっとおもったのでした。