阿寒湖でユスリカの釣り |
1年ぶりの阿寒湖のユスリカの釣りです。
去年は5月29日にドクター・カワノこと川野信之先生とこの釣りを愉しみました(この日記の2017年5月29日に掲載)。川野先生はその頃既に病が進行していて、阿寒湖畔のホテルから釣りのポイントまで僅か500mを歩くのにも途中2回ほど座って休まないと息が苦しいのでした。それでも素晴らしい夕焼けとライズに恵まれて感動的な釣りが出来て、来年も同じ時期、是非一緒にこの釣りを愉しもうという約束になっていたのです。が、残念なことに川野先生はこの4月に逝ってしまったのでした。
今日の釣りは水口さんと一緒です。釧路の藤プリントの社長で、ドクター・カワノの一連のフライフィッシングの本の編集・印刷・製本は水口さんの素晴らしい仕事です。
阿寒湖のユスリカの釣りは夕暮れの釣りですから、私は何時も18時ぐらいから釣り始めます。今日もそのつもりで水口さんに、今日は行けますかと14時頃メールを入れたら直ぐに、今阿寒湖にいますと返事が来たのにはビックリ、いくらなんでも早すぎない?
私が釣り場に着いたのは18時過ぎでしたが、北風が吹き荒れて厳しい状況だったものの17時頃に一旦風が止んでユスリカが出てライズもあって、水口さんはそれを狙ってビーズヘッドのユスリカピューパでアメマスを一匹釣ったそうです。
夕刻のこの釣りは風が弱いことと晴れていることが絶対条件で、明るい西の空が映って光る水面だからアメマスのライズリングも見えますし、#18に巻いた小さなユスリカドライフライもシルエットで見る事が出来ます。西の空方向以外の水面は暗く沈んでしまってハッチもライズもフライも見えません。今日は阿寒湖上空はくらい雲に覆われていましたが西の空だけは細く開いていて、夕陽が沈んでいくのも見えます。北風もあって波もありますが、きわどいながらもこの状況ならいけそうなのでした。
しばらく経つとポツポツとライズが始まって、私から西の空が映る明るい水面にもライズリングが拡がります。10メートル程離れたライズのあった場所にフライをキャストして直ぐ、水面が盛り上がってシルエットで見えていたフライが消えて魚の頭が一瞬見えました。アワセるとグンと重い手応えと共に、水の中で魚が頭を振っているのが判ります。簡単に近くまで寄ってきて、一瞬姿を見たときにこれは思ったより大きいかも。しばらくやり取りしていたらフックが外れてバレてしまいました。小さな釣針で止水の釣りですから、釣針の返しは有った方が良いのですが、私は常にバーブレスフックを使うことにしていますから、このように外れてしまうことがあるのも仕方がありません。
次にフライに出たときはゴボッと大きな音と水飛沫が上がったのですが、何故かフッキングせず。
3度目はまた10メートル離れた場所で掛けて、こんどは慎重にやり取りしてやっとランディングネットに収めました。サイズは40cmほどと小さめですが1匹は1匹です。これが今シーズンの阿寒湖ユスリカでの釣りの最初の1匹です。手早く写真を撮って即リリース。
その頃から水面を飛ぶユスリカの数がグンと増えます。目に入る耳に入る鼻に入る、口を開くことも出来ません。服にもウェーダーにも沢山のユスリカがとまります。が、ライズの数は減る一方です。どうやらこのユスリカは今ハッチしたのではなく、ここ暫くの間にハッチしたものが産卵のために水面に降りようとしているようです。ただカゲロウのスピナーフォールでも、さんざん乱舞したあと水面に降りずに森に戻ってしまうことがあるように、この沢山のユスリカも水面にはほとんど降りずに森へ戻ってしまうようでした。これではライズも起きないはずです。
今日の釣りはこれで終了、短い時間でたった1匹しか釣れなくとも、とっても楽しい釣りでした。たぶんあと10日か2週間ぐらいは条件さえそろえば、このユスリカの釣りは愉しめるはずで、今シーズン、あと1~2回は行きたいとこです。
私にとっては今日の釣りは川野先生の追悼釣行でもありました。もう一緒に釣ることは出来ませんが、私が釣りを続ける限り、毎年この5月末の阿寒湖のユスリカの釣りに来る度に、川野先生と一緒に釣った2017年5月29日の、あの素晴らしい夕焼けの日を想いだすことでしょう。