十勝川、千代田堰堤の魚道を観に行く。 |
鳥見のガイドが終わって時間が余ったので、十勝川の十勝川温泉下流にある千代田堰堤の魚道を観てきました。新しい水路に魚道が作られているのは知っていましたが、これほどの規模の施設だとはおもいませんでした、じつに立派な構造物です。魚道や観察室が出来たのは2007年ですから、もう7年も前です。
魚道は2本造られていて、小型の魚用の長さ1.4kmもあるという傾斜魚道と、大型魚用の階段式魚道です。階段かエレベーターで地下に降りていくと観察室があって、魚道を側面から観る窓とと、なんと魚道を底から観ることが出来る窓が付いています。これは面白いです。覗いてみるとちょうどシロザケが魚道を上っていくところでした。大型魚用といってもイトウは登れるのでしょうか。
魚道というと歩道橋を思いだしてしまうのです。歩道橋がヒトが主体の発想ではないのと同じように、魚道もまた魚主体の発想にはおもえません。これをエコロジーなどと関連付けるのは可笑しな話におもえます。
千代田堰堤は昭和10年に出来た灌漑水路用の取水堰です。この堰堤が出来てから上流部では大型のアメマスが居なくなったという話を聞いたことがあります。新しい魚道が出来て、これでアメマスが自由に行き来できるようになれば、上流部でも海から遡上してくる大型アメマスの釣が出来るのかもしれないとおもっていたのです。でも完成してから7年も経つのに、上流部で海からの遡上アメマスが増えたという話を聞かないのは何故なのでしょう?
観察室を出て、外から施設全体を見てみることにしました。実に規模の大きな施設で、いったい建設費に幾ら掛かったのかと貧乏くさいことを考えてしまいます。
階段式魚道の最上段には川との間に大きなプールが造られています。階段を上ってきた魚は、最後にこのプールに入って、そこから堰堤上の十勝川本流へと進んで行くようになっているのです。ところが川へ出る部分に丈夫な柵が取り付けられていて、大きな魚は通ることが出来ません。プールの中には階段を上ってきたシロサケが、たぶん100匹以上は泳いでいましたが、先に進むことが出来ずに柵に向かって体当たりする無駄なジャンプを繰り返しているのでした。せっかく魚道を上ってきたサケを最上段のプールで止めてしまうのでは、なんのための魚道なのでしょうか?
人工増殖のための採卵用のサケの捕獲は本流側の堰堤下でクレーン車を使って行っていましたから、このプールのサケは捕獲のためのものではないでしょう。捕獲するなら魚道をわざわざ上らせる必要はないのです。となると、これだけの数のサケが魚道を上ってきたよと見学者に見せるために止めてるのでしょうか? 本流へ戻る場所に取り付けられた柵はサケの遡上時期だけ閉められているのでしょうか? これではサクラマスもアメマスも通ることは出来ません。
常駐の職員が何人かいて暇そうにしていましたが、こちらに暇が無くて、何故このような運用をしているのか訊く時間がありませんでした。また行くことがあったら訊いてみたいとおもいます。