オオウバユリ |
大姥百合です。何年か前の7月にスロバキアからのお客さんを屈斜路湖畔の森へ案内したときに、(シャクヤクとボタンの英訳が思いつかなかったので)日本じゃ美人をユリにたとえるんだけど、これは日本語でグランドマザーリリーなんだと、下手な英語で説明したら、ウケたことがあったけ。
森の中の日陰に咲く花ですが、高さは1.5mを超えるおおきなものです。「鱒や」の庭に今年は20本近くが咲いていて、地味な花ではありますが見応えがありますね。ユリですから球根があって、アイヌの方達は、この球根からデンプンをとって食用にしていたそうです。
多年草で、種から毎年球根を大きくしていって、だいたい7年目に花を咲かせて種を付けて枯死します。今年の庭の満開は8年前に咲いたオオウバユリの種から育ったものな訳で、セミみたいな植物ですね。
去年は花が付く前に、この茎のつぼみの部分だけをエゾシカが、みな食べてしまって、ほとんどオオウバユリの花を見ない夏でした。「鱒や」の庭のオオウバユリも、屈斜路湖畔の森のオオウバユリもみな茎の上部が切り取られたように齧られていたのです。ところが今年、何処へ行っても喰われた形跡がありません。鹿にも年によって食べ物の好みに流行があるのでしょうか、これは不思議です。
地味で目立たない花ではありますが、付ける実の種を撒く仕組みが実に巧妙で面白いので(覚えていたら)10月に写真をまた撮って載せたいとおもいます。種を撒いたあとの枯れた実と茎は翌年まで残りますが、造形として美しいのでドライフラワーとして生け花などにも使われますから、これ見たことある、って人も多いでしょう。秋の終わりに山に行くと、この枯れた茎を集めている人を見かけることもあります。