エゾフクロウの森 |
道路脇は植林された針葉樹の人工林で幹の太さは15~20センチほど。単一樹種の人工林は、そこに棲む野鳥や野生動物も少なく、ネイチャーフォトの目から見れば楽しくも美しくもない。ところが、その人工林の裏に弟子屈町内でも珍しい巨木の森が残っていたのだ。トドマツやダケカンバ、カツラなどの巨木、古木のある原生林。こんな素晴らしい森が残っていたなんて、まったく知らなかった。
森に入ると10センチほど新たな雪が積もっている。散歩の目的のひとつはエゾモモンガの巣穴探しなのだけれど、雪が1センチでも降ったら巣穴を見つけるのは格段に難しくなる。巣穴のある樹の根もとに溜まっているモモンガの糞が、新雪で隠れてしまうからだ。
モモンガが入りそうな巣穴のある樹を見つけるたびに、根もとの周りの雪を払って糞を捜すが、そう簡単に巣穴は見つからない。そんなことをしながら森の奥へ奥へと彷徨い歩いていく。
新雪にスノーシューの踏み跡が残るから、帰り道が判らなくなることはないけれども、もうそろそろ戻った方がいいかなと思い始めたときに、大きなウロのある古木を見つけた。針広混交の森の中にぽっかりと小さな広場のような雪原があって、そこに孤立する半ば朽ちた巨木は存在感がある。
そしてウロの縁にはこちらを見おろしている一羽のエゾフクロウがいた。この原生林の見てはいけない森の精に出会ってしまったのかもしれない、と思った。
上:EOS1Dmark3+EF600mm
下:EOS5Dmark2+EF600mm
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