MAFAC + KOOL STOP |
忙しかった夏も過ぎて、さあ遊ぼうと思ったら夏風邪をひいてしまった。お盆からしばらく続いた晴天も、昨日の夕方からは前線が掛かって雨模様。天気は悪いし風邪はひくしで外に出かける気にもならない。
昼前に郵便屋さんが不要なつまらないDMと一緒に、小さなクッション封筒を配達してくれた。発送元はカリフォルニアの自転車店。封筒をハサミで切ると中から小さなビニール袋が2つ。それぞれに4個、1台分のレンガ色の自転車用のブレーキのゴムシューが入っている。よーし、さっそく交換作業開始だ。
今時、丸いイボが4つの、こんな古いタイプのブレーキゴムは珍しいだろう。これはフランスのMAFAC社という自転車ブレーキメーカーのキャリパー専用のブレーキゴムなのだ。このMAFAC社のブレーキは60年代70年代の自転車ブームの時には大人気で、当時の高級なツーリング用自転車のブレーキは、多くがこのMAFAC社製のものだった。
が、ブレーキの効きのほうはイマイチで、特に雨の日などは効きが悪く、当時は恐い思いを何度もしたものだ。そこで皆、ブレーキのゴムを他社製のモノに交換したりして、少しでも効きを良くしようと工夫していた。
MAFAC社は急成長した日本のメーカー製品などに追われて、80年代には会社そのものが無くなってしまうのだが、センタープルブレーキやカンチブレーキは今でも旧車ファンには絶大な人気があって、デッドストック品などはオークションなどで高値で取引されたりしている。
私が乗っているTOEIの700Cランドナーも、このMAFACの2000というタイプのセンタープルブレーキを使っているのだけれど、これもやはり効きがイマイチなのだ。というか製造より数十年は経っているであろう黒いゴムのブレーキシューはカチカチで、これでは雨の日に走ろうなんて気には全くならない。
ところがなんと、効きの良さでは定評のあるアメリカのブレーキシュー専業メーカーKOOL STOP社が、ここへきてMAFACの完全互換のブレーキゴムを売り出したのだ。これまではKOOL STOP社の他のメーカー用のブレーキゴムを切ったり削ったりして、MAFACに取りつけたりした人も多かったのだけれど、これでMAFACの製品販売終了後二十数年経ってはじめて、交換品として完全なブレーキゴムが世に出たことになる。
KOOL STOP社のMAFAC用ブレーキゴムは2色あって、黒がドライコンディション用。レンガ色(サーモンレッド)がウェットコンディション用だ。黒い方なら純正と全く見分けはつかないけれども、ここはより効くとネットで評判の柔らかいゴムを使ったレンガ色の方を付けてみることにした。
交換調整作業には小一時間かかった。サーモンレッドも付けてみると思ったほどには目立たないで良い感じ、あとは風邪が治ったらテスト走行だ。
でもなぁ、MAFACのブレーキを知っているのは若くても40台後半以後だろう。MAFACのブレーキキャリパーを使った自転車が、いったい世の中にどれだけあるのか? 世界中で、この交換ゴムが発売されたことを喜ぶ人がどれだけいるのだろう?
写真はゴム交換作業中の未使用のMAFAC社のコンペティションというモデルのセンタープルブレーキ。これも25年以上前のデッドストック品。さて、このブレーキを使ってどんな美しい自転車を造ろうか・・・