コクガン祭り |
今日もガイドで野付半島です。ゲストは西日本在住の方でユキホオジロとコミミズクを希望です。途中、もしかしたらと寄った街のナナカマドの並木道では40~50羽のキレンジャクの群れが飛び回って居ましたから、野付に急ぎたいところですが先ずは撮影です。
野付半島は龍神崎灯台より先の通行許可車両の車止めのかなり手前で、ネイチャーセンターのガイドの石下さんとバッタリ。何か双眼鏡で観ているところだったので訊いたらなんとユキホオジロ20羽でした。先端まで歩かないで済むとはラッキー!! とおもったけれども逆光で、大きく回り込んで撮ろうとしたところでキツネに飛ばされたりで、飛ばさずに追うのが難しくなかなか良い条件になりません。
それでもお客さんは粘って姿勢を低くして、かなり近寄って良い写真を撮っていました。私は今日はガイドですから無理せず匍匐前進で物陰から遠目で何枚かハマニンニクに登ったユキホオジロです。
車止めには札幌ナンバーの見覚えのある車が駐まっています。今朝はマイナス23度でしたが、この時点ではマイナス3度で陽射しはあって風は無くポカポカです。レイヤーを1枚脱いで歩き出しましたが、それでも途中で汗が出ます。
先端手前の湾内側が賑やかなので双眼鏡で覗いてみたら、誰かが写真を撮っています。そのすぐ先の水面にはなんと数百羽のコクガンが居ます。まるで池の餌付けされた鴨のようで、ええ~っ? コクガンがこんなに人の近くで?
行ってみると撮影していたのはFauraの編集長、大橋弘一さんでした、お久しぶり。でもないか、11月頭の我孫子のバードフェスティバルでお会いしていた。大橋さん、野付半島でコクガン撮るのは初めてだそう、遠いだろうと思っていたらこんな近くで撮れるんですねぇ。いやいや、こんな近くにコクガンが寄ってくるのは奇跡みたいなもので…。ここで情報交換して大橋さんはユキホオジロを撮りに戻ります。
何時もは警戒心が強くて人を寄せ付けないコクガンが、何故今日はこんなに近づけるのか? なにせ近い場所では岸から8mぐらいの場所に居て、私が岸辺まで行っても逃げないのです(もちろん姿勢を低くして、撮影の時も砂浜に座るか腹ばいですが)
周りを見渡して、なるほどそうか!!と納得です。コクガンのエサはこの広大な野付湾内に生えているアマモです。野付湾内はせいぜい1mほどと水深が浅くほぼ全面にアマモが生えていますから、コクガンは湾内の何処ででもアマモを食べられるのでした。が、このところの冷えこみで湾内の9割方は凍ってしまっていて、水面が見えているのは湾口の部分だけなのです。コクガンは水に潜ることは出来ませんから逆立ちして首を目一杯伸ばしても届く水深は60~70cmくらいでしょう。この湾口の部分だけは水深が深いので氷の張っていない場所でアマモが食べられるのは、もう私の目の前の岸からごく近い場所だけしか残っていないということのようなのです。
コクガン達はこんなに近くに人がいるのに気にせず食べることに夢中です。首を突っ込んだり逆立ちしたりしてアマモを引き千切ると水面に頭を出して麺類でも食べているかのように飲み込むと、また水に頭を突っ込みます。次々食べながら、でもガガガガ、ガガガガっと鳴くのですから賑やかなこと。知床半島の白い山々を背景に、青い水の湾内の、それもすぐ目の前にコクガンの群れですから実に贅沢な状況です。ここでは1時間以上撮影していました。
14時を廻ったので帰路につきます。半島の中程では美しいケアシノスリを見つけて、チョウゲンボウも見つけました。ただ2羽来ているはずというコミミズクはなかなか見つからず、やっとフワフワと飛んでいる1羽を見つけたのは日が落ちてからだいぶ時間が経ってからで、暗く写真を撮るのは無理でした。
写真をクリックすると大きく観ることが出来ます。