アオハクガン |
ハクガンは明治時代初期までは多量に日本に渡ってきていたようですが1940年代には全く来なくなってしまったのだそうです。が、私が北海道に移住してきた20年ほど前から、マガンやヒシクイの群れに交じって最初は1羽、2羽だったのが年々増え始め、今年の秋シーズンには120羽ほどの群れとなって日本に渡って来るようになりました。
ハクガンの越冬地は新潟や秋田ですが、渡りの中継地として十勝地方に春と秋に、それぞれ1ヶ月ぐらい滞在していきます。「鱒や」からは遠いのでなかなか見に行くことが出来ないのですが、ハクガンだけでなくヒシクイやマガン、シジュウカラガンなど雁が好きな私としては、少なくともシーズンに1度は見に出掛けることにしています。
で、珍しいのが今年の120羽の中に1羽、アオハクガンが混じっていたこと。アオハクガンも実は種としては同じハクガンなのですが羽根の色がまったく違うブルーグレーです。ハクガンが英語ではSnow Gooseなのに対してアオハクガンはBlue Gooseと呼ばれています。ハクガンの繁殖地は北極圏で、北米に渡るハクガンには、このアオハクガンがかなり混じるようです。日本にも2006-07のシーズンには2羽のアオハクガンが来て野鳥ファンの間で話題になりましたが、その時は残念ながら私は見ていませんので、今回が初めて見ることになりました。
ハクガンはご覧の通り真っ白で遠くからでも群れを見つけることは簡単ですし、このアオハグガンはハクガンの群れと一緒に行動しています。ただ、ハクガンも他の種の雁と同じで警戒心はかなり強く、なかなか近くに行くことが出来ません。実は今シーズンは既に3回も見に行ったのですが、写真はご覧の通りで遠くからやっと識別できるレベルでしか撮ることが出来ませんでした。
このハクガンの群れとアオハクガンは、この連休中には秋田へと渡ったようで、すでにアオハクガンで検索をかけると秋田地方の何人かのブログに登場しています。秋田も新潟も、十勝よりははるかに鳥見の人達が多い場所ですから、これから春の渡りまで、このアオハクガンは珍鳥としてあちこちのブログを賑わせてくれることでしょう。
ちなみにSnow Gooseと画像検索をかけると、ハンターが何百羽もの撃ち殺したハクガンと一緒に自慢気に写っている写真が幾つも見つかり驚かされます。ハクガンは雁の中でも最も個体数の多い種で北米では狩猟対象になっているのです。
またハクガンは何故か増え続けているそうで、草食性のために繁殖地の北極圏で地衣類などを食べ尽くしてしまうために環境問題も起こしているようです。ハクガンに限らず雁の仲間は日本では全て保護されているのですが、もしかしたら日本に渡ってくるハクガンが年々増加しているのも繁殖数の増加の影響なのかもしれません。
秋の旅行でもしかしたらハクガン達に会えるかもと新潟の越冬地に寄りましたが、まだ来ておらず、今日が旅の最終日で十勝の中継地に寄ったら立ち去ったあとでした。どうやら行き違いかな、と家に帰り着いて検索したら秋田に居ることが判ったのでした。ですので撮影は10月20日と11月6日ですが、今日の日記としました。