クマゲラの巣立ち |
数日前から噂を聞きつけたカメラマンたちに囲まれたクマゲラですが、今朝の6時頃に無事巣立ったようです。一週間ほど前に巣穴にヘビが入ったのですが、大きく育ったクマゲラの雛を食べることなどもちろん出来ず、親のクマゲラがパニックを起こしてエサを運んでくる間隔が少し開いただけでした。私の予想では24日か25日が巣立ちだろうとおもっていたので、1日読みが外れました。
写真は昨日、通りかかったときに撮ったものですが、なんだかなぁ…、まるでモデルの撮影会です。私が見た限りでは十数人も集まったカメラマンの中に、この巣穴を自力で見つけた人は1人だけでした。あとは誰かから聞いて来た人ばかり。去年、この巣穴の撮影の暗黙のルールだった、車は見つからないように遠くに置く、人が通りかかったら迷彩ネットを被って隠れるなど、もう誰も守っていません。中には真っ赤な服を着た人もいます。
この巣穴は古い巣穴を去年から再利用し始めたもので(といっても古い穴を掘ったのは別の個体ですが)去年も今年も、この巣穴を再利用するのを自分で見つけた人は数人でした。この人達は自分で巣穴を捜す苦労を知っていますし、野鳥の撮り方も判っている人たちですから、他人に話すようなことはありませんでした。今年はどこから話が漏れたのか…まあ、見当はつきますが。
こういう撮影の人たちにとっては、野鳥の撮影とは皆でワイワイ取り囲んで撮るのが当たり前で、そのスタイルに何の疑問も持っていないのです。なぜなら彼らにとっては自分で野鳥の撮影場所を捜すことなど無く、人に教えてもらった場所に行くのが野鳥撮影だからですね。こういった人たちは新たな撮影場所を知るために、自分が聞いて得たた情報と交換していきます。結果として情報はどんどん拡散してしまって、何処へいっても、そういった人たちが集まって撮影者が野鳥を囲んでしまうことになります。名を知られた野鳥撮影のプロカメラマンが先生と呼ばれて、場所を仕切っていることすらあります。こうなると、出来る限り人為的なプレッシャーを与えないようにという、野鳥や野生動物撮影のごく基本的なルールすら守られなくなりますよね。これまでの例から、この巣穴を同じクマゲラが来年もまた子育てに使う可能性は低そうです。
私自身は他のカメラマンが居るときには、このクマゲラは全く撮影していませんから、ごく初期にソーッと数回撮っただけで終わってしまいました。が、この巣穴のクマゲラのことを考えればしかたがないとおもっています。
残念なのは、これ以外に観察対象にしていた別のクマゲラが抱卵を放棄してしまったことです。ヘビが入ったか(卵なら食べられてしまいます)無精卵だったかですが、全く親の姿を見かけなくなったので、たぶん、ときどき見かけていたオオタカに喰われてしまった可能性が高いのじゃないかとおもっています。
来年はこんな道ばたの巣穴を使うんじゃなく、もっと山奥で子育てするんだよ。そうすればストレス溜めずに子育てに専念できるから。