仔ギツネたちとクマゲラと撮影ガイドのガイドライン |
昨日の日記に載せた仔ギツネを今日もまた見に行ったら、3匹が森の広場で遊んでいました。上に載せた写真の仔ギツネが、たぶん昨日の仔ギツネです。下の2枚の写真の仔ギツネたちは、だから昨日とは別の仔ギツネたちですね。何処が違って見分けられるのか? 昨日も撮った仔ギツネは、下の2匹と比べると明らかに発育が遅れているようです。産毛も多く、他の子達と別行動のことが多く、昼寝ばかりしています。たぶん発育の遅い子などだろうとはおもいますが、もしかすると母親が違う可能性もあります。
キタキツネは母ギツネと娘ギツネが、それぞれの子供を合わせて一緒に育てることが最近の研究で判ってきています。私も2006年の5月には、明らかに生まれ日の違う仔ギツネたちが一緒に居るのを撮影しています。今日の場合は、発育の差なのか、母親が違うのか微妙な線ではありそうです。既に5日間にわたって見てきた仔ギツネたちなので、今のところ母親は引っ越しして隠すつもりはなさそうです。上手くいけば、何頭の成獣が子育てに参加しているのかを観察することが出来るかも知れません。
キツネのあとはクマゲラです。環境省レッドデータリストの絶滅危惧II類です。が、弟子屈町の生息数は多そうです。巣穴を見つけたのも今シーズンは、これが3つ目です。声が聞こえたので4時間ほど捜し回っていたのですが、たまたま、この穴は使われているのだろうかと双眼鏡で調べているときにオスが帰ってきたので、こちらは十数メートル離れた森の中でフリーズでした。
抱卵交代なら、片方が巣穴の近くに止まると抱卵中だったもう一羽が穴から飛び出して、入れ替わって交代となります。ところが巣穴に戻ってきたオスは、ときどき穴の中を覗きはするものの、ほぼこの姿勢で15分ほどそのままで、そのあと穴の中へ入りました、???。穴の中で抱卵交代するのだろうか?とおもいはじめた頃、数分して穴から顔を出したのは、先ほどのオスでした。巣穴の縁に両足を掛けて、飛び出せる姿勢で辺りを見回しています。う〜ん、この姿勢は見たことがあるぞ。
私のこれまでの観察だと、巣穴を掘ったり、リニューアルしたり、メスが産卵するまでの間、巣穴を維持管理するのはオスの役目のようなのです。今日も、この姿勢のまま20分ほど経ったときに、近くにメスが飛んできて鳴いていました。ですから、たぶん、この巣穴でもうすぐ抱卵が始まるのでしょう。
クマゲラはもう何年も観察と撮影を続けてきました。が、一昨年と一昨昨年、それぞれ別の巣穴のことではありますが、野鳥撮影のカメラマンが集まりすぎて鳥にプレッシャーを与えすぎたのです。このためか、どちらのクマゲラも翌年には同じ巣穴を使うことなく引っ越してしまいました。
去年営巣した巣穴の一つは、地元の野鳥愛好家やアマチュアカメラマンの数人と私だけが知っていました。林道の直ぐ脇の巣穴だったので、通る車は多く、見つかってしまうのかとも思いましたが、他人に場所を話さない。車や人が通りかかったら隠れる。自分たちが乗ってきた車は遠くへ置く。を、この巣穴をそれぞれ独自に見つけた素敵な人たちと皆で約束して、観察と撮影を続けました。私もガイドの時はお客さんには場所を教えましたが、人数を少なくするために私は同行せず、迷彩ネットを用意していただいて、指定した場所で隠れて撮ってもらいましたし、最大2人までしか撮影に行かないようコントロールしていました。
幸いなことに、皆のこれらの努力のおかげで、昨シーズンはこの巣穴は他の人に見つかることはなく、鳥へのプレッシャーも小さかったのでしょう、今年もまた同じ巣穴に営巣してくれたのです。
しかし、残念なことに、今年は既に他の人たちに、この巣穴の位置は知られてしまいました。皆が同じようにルールを守って撮ってくれるならなんの問題もないのですが、ある程度人が集まり出すと、もう鳥へのプレッシャーなど考える人は居なくなります。マナーを注意しても、何様よ?他の人たちもやっているじゃないか、と反発されます。自分で撮影の線引きが出来ないカメラマンたちが集まってしまうのです。
なかにはアマチュアのカメラマンだけでなく、プロカメラマンやガイドですら、同じようなことをする輩がいます。最近では、これは十勝での話ですが、プロガイドがシマフクロウの巣箱の下まで客を案内して、抱卵を放棄させてしまったのです。大手の旅行代理店などが使っている名を知られたプロガイドがこの様なのです。
今年、クマゲラのこの巣穴に多くの人が集まり過ぎたり、質の悪いガイドが鳥に高プレッシャーを与えるような状況になるなら、残念ながら私も見に行くことが出来なくはなりますが、環境省や林野と協議して、立ち入り禁止にして貰うことも考えなければならないかも、とおもっています。
遠くから静にソーッと少人数で、が希少な野鳥や野生動物の観察や撮影の、最低限のルールだとおもっています。
「鱒や」では宿泊のお客様のご希望があれば、野鳥や野生動物の観察や撮影のガイドも行っています。お客様に喜んでいただける愉しいガイドを心がけていますが、上記の自主基準でガイドを行っていますので、必ずしもお客様の全てのご希望には添えない場合もあります。シマフクロウはご案内しません、タンチョウの抱卵もご案内しません、ご了承下さい。
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