子供の国 |
4月中旬に鬼怒川で釣って以来、まったく釣りに行っていない。弟子屈じゃあ、まだ桜も咲いていないから、ちょっと早いのは判っていたけれど、ここ3日間の暖かさでこちらも我慢できずに今日は午後から今シーズン初の地元でドライフライフィッシング。
行ったのは小さな川の上流部。ここは5月前半からドライフライで釣りが出来る道東では珍しい川なのだけれど、なぜか小さなニジマスしか釣れない。
今日も一投目から反応する魚がいて、13時から17時まで随分と沢山のニジマスが遊んでくれた。が、釣れたのは予想どおり25センチまで。秋に釣れば希に35センチや40センチも釣れるのだけれど、春のこの時期には25センチくらいまでしか釣ったことがない。大きくなると下流へ下ってしまうのか?
まあ、初めから小さいのしか釣れないと予想していたから、それなりのタックルで出かけたから充分楽しめた。魚のサイズがサイズだから四国のアマゴ釣りに感覚的に近いかもしれない。
今日の釣りは、預かっているプロトタイプの全く新しい考え方で造られたグラファイトロッドのテストも兼ねている。このロッドについてはまた何時か詳しくこの日記にも書くけれども、もしかしたら凄い可能性を秘めたロッドかもしれないぞ、などと思いながら釣り上がっていく。
それにしても不思議なのが、この川のニジマスのサイズだ。25センチクラスなら山ほどいて、今日も数十匹はフライに反応したけれど、やっぱり大きいのが出ない。う〜ん、何時来ても子供ばっかし、お父さんやお母さんは何処にいるの? ここは子供の国なのか。
渓を釣り上がっていくと大きなプールに出た。プールの尻はきれいな小石がびっしりで、かなり広く浅くなっていて水深は20センチか30センチぐらい。そしてなんと、このプールの尻の浅い砂利底の開けた場所に沢山のニジマスが居たのだ。サイズは大きくても27〜8センチ、小さいのは20センチにも満たない。広い砂利の浅瀬のあちこちに数匹ずつで定位しているのが見える。なんだ、こりゃ?
定位している小さなニジマスが、ときどきヒラを打つのが見える。浅い場所だから腹が光るのがハッキリ判る。さらに、追いかけっこをしているニジマスも見える。ここは子供達の遊び場か、と思ったのだけれど、しばらく見ていて、突然すべてが理解できた。
なんと、この小さなニジマスたちは産卵をしていたのだ。渓を奥へ進むと同じようなプールが次々と現れ、同じように産卵行動する小さなニジマスが沢山居た。
この川では大きなニジマスを見ないのに、自然繁殖した小さなニジマスが何故こんなに多いのだろうと、ずーっと不思議に思っていた。今日やっと判った。この川は子供の国なんかじゃない、ネオテニーの国だったのだ。